業務の多様化

多様化する業務への対応

プラザ合意(昭和60年、1985年)後の日本経済の急速なグローバル化の進展、バブル経済の崩壊、金融の自由化(いわゆる金融ビッグバン)といった日本企業を取り巻く経済環境の激変により、当事務所の業務内容や体制も大きく変貌することになりました。

例えば、商法(会社法)分野においては、従前より提供してきた多数のクライアント企業に対する経営上の法的助言、株主総会に関する助言・臨席、意思決定機関等の関与が必要となる重要なコーポレート・アクションに関する助言などに止まらず、取締役の善管注意義務に関する助言をはじめとして広くコンプライアンス及びコーポレートガバナンス全般についての助言や規程作成等を行うことが多くなりました。さらに、企業の統合・再編では、合併、株式譲渡や営業(事業)譲渡による大型のM&Aに関する助言、デューディリジェンス(買収監査)及び契約交渉等の実務が増加しました。金融法分野においても、金融機関による新たなファイナンス手法や金融商品等が増えるにつれて、ファイナンス・スキームやレギュラトリーに関する助言やドキュメンテーション等の多様なリーガルアドバイスを提供する機会が拡大しました。

このような業務の拡大に伴い、当事務所の所属弁護士数も次第に増加していきました。

バブル経済崩壊を端緒とする1990年代の金融危機においては、金融機関の破綻に伴う処理銀行の設立、破綻金融機関の事業・営業譲渡、その後の各種法的処理に深く関与しました。

また、大手金融機関の不良債権処理に関しては、裁判手続などを通じた債権の保全・回収にとどまらず、取引先の再建を巡って金融機関に対するリーガルアドバイスを提供しました。なお、金融機関の適切な債権管理回収のため、平成11年(1999年)にいわゆるサービサー法が施行された後には、弁護士が同法に基づきサービサー(債権管理回収会社)の取締役に就任するなど経営的観点も含めた債権回収政策全般への関与を継続しています。

そして、平成8年(1996年)には、旧丸ノ内ビルヂングの建替えに伴い、事務所は一時期、三菱ビルに移転しました。

年表